後遺症が気になる方へ 知っておきたい3つのポイント

後遺症が気になる方へ 後遺障害が認定されるまでの流れ

治療をしても症状が治りきらず、
後遺症になってしまうことがあります。

このような後遺症のうち、
労働能力に影響を与えると法律的に判断されるものを後遺障害と言います。

そのため、後遺症は残っていたとしても、
後遺障害として法律的に認められるか否かによって、
賠償額は大きく変わります。

後遺障害として認定されるまで、どのような流れになるのでしょうか?

事故発生から治療まで

まずは、事故でお怪我をされたときは、
医師の指示にしたがって、
しっかりと治療を受けられるようにしてください。

当然ですが、お怪我は、治せるのであれば治すことが一番です。

このとき、通院先としては、
医師のほか、接骨院や整骨院も候補に挙がってくることがあります。

注意をしていただきたいのは、
法律的には、
原則は医師の治療を受けることとされている点です。

そのため、接骨院や整骨院ばかりに通っても、
事故と関係のある治療と認定されないことがあったり、
後遺障害の認定手続きを進めることが困難になったりすること
があります。

ですが、病院やクリニックは、診療時間が限られているところが多く、
なかなかお仕事の関係で通うことが難しいというご事情や、
実際に接骨院や整骨院の施術を受ける治療上の意味もあると思います。

そういった場合は、
接骨院や整骨院にばかり通うのではなく、
整形外科の医師のもとに通いつつ、併行して通うようにしましょう。

そして、医師には、接骨院などに通っていることも告げておくようにしてください。
もちろん、医師から接骨院や整骨院を紹介されたり通うことを提案されたりした場合には、
必要な分だけ通うようにしてください。

このようにしてしっかりと治療をしたうえで、
それでも治らないときは、
後遺障害として金銭的に賠償を受けるために、
後遺障害の認定手続きを検討していくことになります。

首や腰の痛み(むちうち症)で後遺障害が認められる通院回数の基準はありますか?
諸事情を総合的に判断しますが、週に2日や3日程度通院している場合には、
後遺障害として認定される可能性があります。

治療から症状固定まで

整形外科や接骨院等での治療・施術を行っていくと、
どこかの段階で、症状が治癒した段階か、
これ以上治療や施術を行っても症状が改善しない段階が訪れます。

よく交通事故では症状固定という言葉が使われますが、
症状固定とは、このようにこれ以上治療や施術を行っても症状が改善しない段階のことを言います。

さて、症状が治癒した場合は、一安心です。
そこで治療を終了し、
それまでに受けたあなたの治療に要した時間や苦痛を金銭的に評価して、
加害者側に賠償してもらいましょう。

これに対して、症状固定となり、
後遺症が残った場合には、
その後遺症が法律的な賠償額に影響を及ぼす後遺障害に認定されるかどうかが問題になってきます

この後遺障害として認定されるために、
症状に応じて、症状固定の段階で医師の方に後遺障害診断書を作成してもらいます。

たまに、整形外科の先生を頻繁に変える方(ドクターショッピング)がいらっしゃいますが、
この後遺障害診断書を作成してもらうという観点からは、
注意しておくことがあります。

それは、後遺障害診断書を作成するには、
それまでの治療経過も重要になってくるということです


医師を頻繁に変えた結果、
「私では分からないので書けません」と医師に言われてしまったり、
不十分な後遺障害診断書にならざるを得なかったりすることもあります。

もちろん、医師から転医を勧められた場合などは勿論問題ありませんし、
事故直後の手術が必要な段階や救急車で運ばれた直後の大学病院から、
ご自宅や職場近くの病院・クリニックに転医することは全く問題ありません。

症状固定から後遺障害認定手続き申請まで

後遺障害は、自賠責保険の基準で定められた14の等級に分類されており、
交通事故の賠償実務では、損害保険料率算出機構というところに
後遺障害の等級に該当するかどうかの認定手続きを申請することになっています。

この後遺障害の認定手続きには、

  • 加害者側の保険会社が行う方法(事前認定)
  • 被害者自らが行う方法(被害者請求)

があります。

加害者側の保険会社が行う場合(事前認定)

加害者側の保険会社が、
手元にある資料を、損害保険料率算出機構に提出して、
被害者の方の後遺障害の等級を審査してもらいます。

かつては、加害者側の保険会社としては、
被害者の後遺障害の等級が低かったり、
非該当であったほうが保険料が下がるので、
保険会社の顧問医等が、症状は軽いといった内容の診断書を添付しているのではないか
ということが囁かれていたこと
もありました。

現在では、さすがにそこまではしていないように思いますが、
加害者側の保険会社が、
わざわざ自分が支払う保険料を上げるために、
被害者に有利な証拠を時間と労力をかけて作ってくれることはまずない
でしょう。

被害者自らが行う方法(被害者請求)

これに対して、被害者自らが行う場合には、
被害者が、自分で後遺障害の等級認定に必要な資料を集めて
損害保険料率算出機構に提出します。

事故の資料は、基本的には、
治療費を支払う加害者側の保険会社の手元にありますから、
被害者は、まずはこの加害者側の保険会社の手元にある証拠資料を
もらうところからはじめなければなりません。

そして、後遺障害の審査に必要な書式を整え、
さらに、場合によっては、
自分の症状がどのような状況にあるのかを詳しく説明する陳述書や、
追加の診断書等、等級認定に必要な資料を作成・収集していく必要があります。

加害者側の保険会社が行う場合のメリットは、
手間がかからないことです。
被害者の方は、特に何かする必要があるわけではありません。

これに対して、被害者請求の場合は、
手間がかかりますが
等級認定に有利な資料もしっかりと等級認定の際に見てもらうことができます

後遺障害認定の申請から等級認定まで

損害保険料率算出機構で審査を行った後は、
被害者の方には、あなたの等級が第何級であるのか、
もしくは、等級には該当しないのか、
ということが通知されます。

この通知がなされた段階で、
ひとまず後遺障害の認定手続きは終了です


納得がいかない場合は、異議を述べることもできます。

重要な資料を見ていなかったり、
判断の誤りがあれば、
それを指摘していくことになります。

異議を申し立てるケースはそうそう多くありませんが、
必要な場合には、実施を検討していきます。

いかがだったでしょうか。
できることなら、手間ではありますが、
後遺障害の認定手続きは被害者側で行いたいところです。

交通事故の経験が豊富な弁護士であれば、
後遺障害の認定手続きも弁護士側でかなりの部分を行いますので、
被害者の方の負担は相当に限定されます。
(私の場合、打合せでご事情をお伺いして、
書類は弁護士にて作成します。
今の症状を、お医者さんに話すように、
私にお話しいただくだけで手続きが進められます
。)

  • この記事を書いた人

弁護士 堀川正顕

交通事故の被害者救済を集中的に取り扱う事務所でキャリアをスタート。年間200件の交通事故事件を扱う。その後、一時期保険会社側(加害者側)の弁護士として働くも、保険金を下げるための保険会社の手法や考え方を知り、被害者の救済が不足していることを痛感。再び被害者側専門の弁護士として日々交通事故問題に取り組んでいる。

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