事故後、治療はいつまで行ってよいのか、
また、いつまで治療を行うべきなのか、
迷われる方も多いと思います。
ここでは、治療の終了時期について疑問に答えていきます。
治療を終えるタイミングはいつですか?
この疑問に結論から答えると、
基本は医師の判断です。
正しく治療を終えるタイミングとしては3つほど考えられますので、それぞれ詳しく解説します。
やってはいけない治療の終了の仕方
まず、間違った治療終了のタイミングについて話をします。
それは、保険会社から、治療費の支払打ち切りを告げられたタイミングです。
多くのケースでは、保険会社から病院に対して、
治療費が直接支払われていると思います。
すると、たとえばむち打ち症などの場合では、
3か月が経ったあたりで、
「そろそろ治療費の支払いを終えたい」
という話がきます。
ここで、痛みが残っているのに治療を終了することが、
一番やってはいけないことです。
治療の終了を決めるのは、保険会社ではありません。
治療の終了の基本は、医師の判断です。
では、なぜ3か月が経ったあたりで
保険会社は治療費の打ち切りを言ってくるのでしょうか?
それは、後遺障害の認定と関わってきます。
後遺障害の認定基準として、
6か月以上の通院が一つの目安とされています。
そのため、3か月で治療費の支払いを打ち切り、
そこで被害者の方が治療を終えれば、
(たとえばむち打ち症の場合では)後遺障害が認定される可能性は極めて低くなります。
そうすると、保険会社は、保険料の支払額を抑えることができるので、
保険会社にとってはありがたく、あなたにとっては厳しい状況になるのです。
被害者の方は、自分で治療費を払ってでも、
痛みがあるのであれば、治療を続けるべきです。
正しい治療の終了の仕方
治療の終え方としては、大きく3つ考えられます。
基本的には、医師等に判断をうかがうようにしてください。
- 痛みがなくなったとき
- 医師から症状固定と言われたとき
- 自分で納得したとき
です。
痛みがなくなったとき
まず、痛みや症状がなくなったのであれば、
そこで治療を終了することはごく自然です。
これは、全く問題ありません。
医師にその旨を伝えれば、
治療を終えましょう、ということになります。
医師から症状固定と言われたとき
そして、どこかの段階で、
これから先の治療を行っても良くならない、
という状態が訪れます。
この状態を症状固定といいます。
医師から症状固定を告げられたときは、
これ以上の治療を行っても症状は大きな改善は見られないので、
治療を終了して通常は問題ありません。
(通常は、むち打ち症であれば6か月後程度、
高次脳機能障害で1年後以降程度です。)
ちなみに、賠償金として加害者側に請求できる治療費は、
この症状固定までの治療費になります。
自分で納得したとき
では、症状固定と言われた後も、
病院での治療や接骨院での施術を受けても良いのでしょうか?
まず、大前提として、先ほど述べたとおり、
賠償金の対象になる治療費は、症状固定までの分です。
そのため、症状固定以後の治療費は、
自腹で支払う必要があります。
また、症状固定との診断が出ているので、
大きく症状が改善することも見込めません。
それでも、クリニックや接骨院で治療を受けると症状が一時的に良くなるといった話や、
自分自身で納得がいくまで治療をしたいというケースもあると思います。
そういった場合、治療費は自分で負担して、
治療をある程度まで継続するということも考えられます。
このように症状固定後にも通院していた場合には、
そのことも、後遺障害の等級認定時に、
審査をする方が分かるように情報を整理して、
申請を行うようにしましょう。
基本的に、治療の話は医師の指示にしたがうことが無難です。
保険会社の言うことに惑わされずに、医師の話を聞くようにしてください。