交通事故では、治療をしてもこれ以上治らない、という後遺症が残ることがあります。
そのうち、加害者の責任と賠償金の額に大きな影響を与えるものが後遺障害です。
後遺障害は、労働能力を低下させるような後遺症で、
後遺障害の認定機関から認定を受けたもの、とお考えいただいて大きな間違いはありません。
後遺障害の認定には、2種類ある
後遺障害の認定手続きには、大きく、
- 事前認定(=加害者側の保険会社が、被害者の後遺障害の認定手続きを申請する方法)
- 被害者請求(=被害者自身が、自分の後遺障害の認定手続きを申請する方法)
の2種類があります。
事前認定
事前認定では、加害者側の保険会社が、
被害者の後遺障害の認定手続きを行ってくれます。
被害者の方としては、待ってるだけで良く、手間がかかりません。
ただし、わざわざ被害者の方に有利な資料を用意して、
加害者が支払う保険金の額を上げようとする保険会社がいるかどうかは、疑問です。
かつては、被害者の方の怪我が大したものではない、
という趣旨の意見書を添付することもあったと聞くこともあります。
さすがにそこまでやっていないとしても、
わざわざ、自分の支出を増やすために、
あなたに有利な証拠を集めてくれると思いますか?
被害者請求
被害者の方自身が、自分の後遺障害の認定手続きを申請するものです。
この申請方法の場合、自分で資料を揃えますので、
後遺障害の認定で必要となるもの、
後遺障害の認定機関の側がほしいと思う資料を
そろえて申請を行うことができます。
そのため、より高額な賠償金を得られる後遺障害を
認定してもらえる可能性は高くなります。
ただし、この資料を自分で揃えるところが、
被害者の方の独力では大変なところです。
たとえば、次のような書類を作成、収集しなければなりません。
- 保険金支払請求書
- 交通事故証明書
- 事故発生状況報告書
- 症状固定までの診断書、診療報酬明細書
- 印鑑証明書
- 後遺障害認定に役立つ資料etc...
保険金支払請求書
まずは、被害者請求をする請求書を記入します。
書式がありますので、それを用意して、必要な事項を記入します。
交通事故証明書
インターネットからも取得の申請ができます(https://www.jsdc.or.jp/certificate/tabid/113/Default.aspx)。
加害者側の保険会社に、
資料一式が欲しいといえば、一緒に送ってくれることが一般的です。
事故発生状況報告書
交通事故が発生した現場状況を、
道路の状況や車の位置関係など、図解して説明します。
これも、専用の書式があります。
症状固定までの診断書、診療報酬明細書
後遺障害は、治療を続けたけれども、
これ以上は治らないという後遺症の中から、認定を行います。
この「これ以上は治らない」というところまでで実施した治療内容が記載された診断書と、
その治療費に関する診療報酬明細書を提出します。
この診断書にも、きまった交通事故用の書式があり、
通常は、加害者側の保険会社に、
治療が終わった段階で
必要な書類を一式送ってほしいと言えば、送ってもらうことができます。
印鑑証明書
被害者請求では、印鑑証明書が必要です。
弁護士に依頼する場合は、弁護士の印鑑証明書(職印証明書)を使用します。
後遺障害認定に役立つ資料
その他、怪我の状況に関する被害者の方の陳述書や、
写真でなければ把握し難いものはCT写真等を適宜添付していきます。
どのような陳述書を書けば良いのか、
また、自分のケースでCT写真等は必要なのか、
迷われることと思います。
交通事故に強い弁護士に相談すれば、
弁護士が必要な情報を調査し、
最大限あなたに有利な後遺障害の認定手続きを進めてくれます。
そのほかにも、書類を準備しなければならないケースがあります。
後遺障害の認定に関する被害者請求を弁護士なしで行うことは、かなりのご負担です。
弁護士費用保険や弁護士費用特約にご加入の方は、
弁護士費用のご本人様負担なく弁護士に依頼することも可能です。